宗派別のお墓とキリスト教徒のお墓

宗派別のお墓とキリスト教徒のお墓

 

日本で暮らしていたら、やはりお世話になる、神様と仏様。しかし、神様を奉ずる神社にはお墓はありません。ここでは、日本の在来仏教の寺院のお墓と神道・キリスト教徒様のお墓を考えたいと思います。宗教の違いで、ご夫婦が苦労されている事もよくあります。(宗教法人参事筆)

在来仏教とは

在来仏教とは、大きく天台宗・浄土真宗・浄土宗・真言宗・日蓮宗・臨済宗・曹洞宗・黄檗宗の6大宗派といわれます。他にも、信者様の少ない在来の宗派もたくさんありますが、多くはこれらの宗派から派生したものが多いです。ちなみに禅宗とは、後者の3つ、臨済宗・曹洞宗・黄檗宗を言います。

まず天台宗と真言宗。宗祖の話

天台宗の宗祖、最澄(伝教大師)と真言宗の宗祖、空海(弘法大使)・・・。運命的な出会いします。しかし、後の他宗の宗祖、親鸞・法然・日蓮・栄西と全て、天台宗の比叡山延暦寺で修業します。そして、各宗派を開き、普及をしていきます。その対極の真言宗の開祖、空海は比叡山には赴かず、各地で布教活動を始めます。いわゆる密教の布教です。

お墓の話に戻して、天台宗の末寺はほんと少ないです、当然お墓も少ないです。しかし、比叡山延暦寺はその信者様の菩提寺として、広大なお墓を持ち、布教活動されています。京都に天台宗寺院の納骨堂があります。

最大宗派・・・浄土真宗

在来仏教で、最も信徒数が多いのが浄土真宗です。京都には、東西の本願寺派の大本山があり、俗にいう、「お西さん、お東さん」と呼ばれる、東西の大本山があります。

北陸方面の信者様を越前門徒・中国地方の信者様を安芸門徒と、全国的にも、圧倒的な信者様がおられます。ご存知の方も多いですが、この東西の本願寺、毎年の報恩講、圧倒的な数の門徒様が集まられて、本堂を清められます。信心深い門徒様の数に驚かされます。

しかし、お墓の事情は、少し変わります。京都の両本願寺派には、大きな墓所、大谷本廟と大谷祖廟があります。宗祖親鸞の墓所ですから、信心深い門徒様は、ここにお墓を求められました。結果、真宗の末寺は、お墓を持つ必要が無かったので、浄土真宗の末寺様に墓地は無いのです。また、一部、本山格の真宗寺院にはお墓がありますが、絶対数が少ないです。結果、浄土真宗の信者様は、特に京都においては、お墓の事で苦労されておられます。

近年では、他宗の寺院でも、入山に宗派問わずの寺院が増えました。日蓮宗や、臨済宗の寺院墓地にも、浄土真宗の信者様のお墓を、よく見受けます。お墓に刻む、戒名で判ります。浄土真宗寺院のお墓、大谷廟・樹木葬の詳しい事は・・・こちらから

浄土宗・日蓮宗・禅宗・真言宗のお墓

浄土宗、日蓮宗のお寺、お墓は多いです。もともと、布教活動に熱心な宗派です。特に日蓮宗のお寺では、修練道場があり、日々、檀家様と、読経されておられます。お墓も布教活動の一環ですので、多くあります。

次に禅宗は、少し、趣が違います。もともとは座禅を解脱の方法とする教えがあります。しかし、京都の臨済宗の本山においては、観光寺院としての役割が多いです。もともと、有名な戦国武将の菩提寺となっています。千利休の影響も大きいのでしょうか?お庭がきれいに整備されています。京都にある臨済宗の大本山、ほんと名だたる観光地です。東福寺・南禅寺・妙心寺・大徳寺・天龍寺・建仁寺と全て、臨済宗です。お墓も古い所が多いです。

また真言宗も、立派な本山が京都にあります。智積院・泉涌寺・六波羅蜜寺・東寺・大覚寺・仁和寺・醍醐寺・隨心院・・・など。もともと門跡寺院が多いので、お墓があってもなかなか、簡単に申し込めないのが現状です。浄土宗・日蓮宗・禅宗・真言宗寺院のお墓をお探しなら・・・こちらから

ほとんどが、本山・大本山になります。

神道のお墓

もともと神道、神社にはお墓はありません。

神道は、仏教とまったく思想が違うので、神道の信者様は、お墓探しの時にに、苦労されておられました。従来からの和風のお墓も少し、形状が違います。てっぺんは四角柱になっており、一目で判ります。ですから、神道といえども、お墓を建てる時は仏教寺院にお世話になられたようです。

もともと、お寺のお墓に関しては、入山と言われ、その寺の檀家になる事が必須とされていました。ですから、神道から宗教替えがあったのでしょうか?

しかし、民間資本の郊外型大型霊園ができた事で、改宗の必要もなくなりました。多くの神道様が、利用されました。中には神道の宗派別の墓所を準備された霊園もあります。

キリスト教徒のお墓

もともと、お墓を建てて、故人を祀るという考え方は仏教の考え方です。

それは、キリスト教のあの世の考え方が、仏教とは明らかに違うからです。人は亡くなると、天に召されるという信仰がキリスト教の根本です。お墓を準備して、遺骨をそこに埋葬して、合掌するという概念が薄かったのでしょう。亡くなった方を偲ぶ時、故人を思い、祈りを奉げる時もありますが、崇拝するのは、イエス・キリストです。仏教のように先祖を崇拝することはないと聞いています。

日本における宗教と言えば、仏教が主流となっています。寺院の中の墓地は特にそうです。各寺院は、在来仏教以外の宗教の信者様の入山はお断りされます。また、もともと、地域にあったお墓(村墓地)であっても、後々にお寺の管理下に入るところも多いです。そうなると村墓地もキリスト教徒様は入りにくくなるのです。

キリスト教の信者様でも遺骨は拾われます。拾ってしまうと、どこかに納めないといけない。ですからキリスト教様はお墓の事で苦労されてこられました。キリスト教にも多数の宗派があります。ある宗派では、火葬後の遺骨は拾わない派もあるようです。民間資本の郊外型の霊園にはキリスト教徒様のお墓をよく見ます。キリスト教徒様のお墓は十字架を模したものが多いです。

宗派の違いで、苦労されているご夫婦をお見掛けします。また、まったく信仰心の無いご夫婦もおられます。宗教って、人を助ける・・・そんなイメージもあります。でも、実際はどうなんでしょう?